後遺障害慰謝料の判例

後遺障害慰謝料に関する判例を紹介いたします。

裁判・弁護士基準を規定している、通称「赤い本」(「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故相談センター東京支部))に掲載されている判例の一部を紹介いたします。

主に、「赤い本」の基準より高い金額を認定した判例になります。

1 被害者本人の後遺障害慰謝料

(1)後遺障害等級1級の事案

高次脳機能障害、右片麻痺、体幹失調等(2級1号)、複視(12級相当、併合1級)の大学生(女・固定時25歳)の慰謝料につき、傷害分350万円のほか、本人分3000万円、父母各300万円、後遺障害分合計3600万円を認めた(東京地判平19.9.25)

遷延性意識障害の大学生(女・固定時22歳)の慰謝料につき、傷害分306万円のほか、本人分3000万円、父母各300万円の後遺障害分合計3600万円を認めた(東京地判平19.5.30)

右片麻痺、右感覚障害、高次脳機能障害、尿失禁(別表1の1級1号)のタクシー運転手(男・固定時46歳)の慰謝料につき、傷害分370万円のほか、本人分3000万円、妻300万円、2人の子各200万円の後遺障害分合計3700万円を認めた(東京地判平22.10.27)

高次脳機能障害、右不全片麻痺、左眼光覚なし等(別表1の1級1号)の大学生(男・固定時23歳)の慰謝料につき、傷害分480万円のほか、本人分3000万円、父母各300万円の後遺傷害分合計3600万円を認めた(東京地判平22.11.24)

(2)後遺障害等級2級の事案

高次脳機能障害(2級1号)の主婦(固定時67歳)の慰謝料につき、傷害分273万円のほか、交通事故の態様、加害者が事故直後現場に駆けつけた警察官に虚偽の事実を述べ責任や衝突の事実を否定したことなどから、本人分2500万円、主たる介護者の夫100万円、後遺障害分合計2600万円を認めた(東京地判平19.2.14)

高次脳機能障害(2級3号)で常時監視が必要な中学生(男・固定時13歳)の慰謝料につき、傷害分350万円のほか、本人分2500万円、父母各300万円の後遺障害分合計3100万円を認めた(大阪地判平19.9.20)

(3)後遺障害等級3級の事案

高次脳機能障害(5級2号)、複視(14級相当)、右眼視野欠損(13級2号)等の眼の障害(併合13級相当)、そしゃく障害(10級2号)、骨盤骨変形(12級5号)、外貌醜状(7級12号)、左下肢の瘢痕(14級5号、併合3級)の主婦(固定時32歳)の後遺障害慰謝料につき、2200万円を認めた(東京地判平18.3.29)

(4)後遺障害等級4級の事案

右上肢の機能障害(5級6号)、右肩関節脱臼に伴う右鎖骨の上方転移(12級5号、併合4級)の大学生(男・21歳)の後遺障害慰謝料につき、体育大学に通い、将来高い運動能力の要求される仕事に就くことを希望していたが、事実上不可能となったこと等の事情に照らし、1700万円を認めた(大阪地判平17.12.9)

(5)後遺障害等級5級の事案

脊柱運動障害(6級5号)、右上肢機能障害(9級相当)、骨盤骨変形(12級5号)、右膝神経症状(14級10号、併合5級)のアルバイト(男・固定時23歳)の後遺障害慰謝料につき、右上肢は一定程度の関節可動域は得られているが動きが遅く、ぎこちない等可動域の数値のみでは評価し尽くされない障害が残存しているとして1450万円を認めた(大阪地判平14.9.27)

右上肢(肩関節・右肘関節・右手関節)の機能障害、右手指5本の機能障害(併せて6級相当)、左手人差指機能障害(12級10号)、右上肢の醜状痕(12級相当)、右股関節機能障害(12級7号)の併合5級の飲食店店長(男・固定時38歳)の後遺障害慰謝料につき、バスと衝突後、バスの左後輪に挟まれた状態のままバスが再発進したことで、更にひかれるのではないかという恐怖心を感じたことが容易に想定できるとして1700万円を認めた(大阪地判平23.2.21)

(6)後遺障害等級6級の事案

脳外傷等頭部外傷、右膝関節靱帯損傷、上下顎骨骨折、顔面骨骨折による顔面部の醜状障害等(併合6級)の会社員(女・固定時37歳)の慰謝料につき、傷害分400万円のほか、外貌醜状があることを考慮して後遺障害分1300万円を認めた(東京地判平20.5.12)

(7)後遺障害等級7級の事案

顔面醜状及び疼痛(7級12号相当)の旅行会社添乗員(女・固定時27歳)の慰謝料につき、傷害分120万円のほか、加害者が酒気帯び、制限速度25km超過で追突しそのまま現場から立ち去ったという悪質性、被害者が20歳代の未婚の女性であり高校生の頃から希望していた海外旅行添乗員になることを断念したこと等を斟酌し、後遺障害分1250万円を認めた(東京地判平20.7.22)

(8)後遺障害等級8級の事案

右大腿部開放骨折、右膝前後十字靱帯断裂で症状固定までの2170日間に415日入院、1254日通院して、右膝関節障害(10級)、右足関節障害(12級)、右下肢醜状障害(12級、併合8級)の被害者(女・44歳)の慰謝料につき、傷害分440万円、後遺障害分950万円を認めた(東京地判平14.3.22)

(9)後遺障害等級9級の事案

右股関節、右膝関節及び右足関節の可動域制限(準用10級)、右足関節の変形(12級8号)、右下肢の短縮障害(13級9号)、右下肢の醜状痕・植皮術後瘢痕(12級、併合9級)の会社代表者(男・固定時58歳)の後遺障害慰謝料につき、750万円を認めた(名古屋地判平18.12.13)

(10)後遺障害等級10級の事案

複視(10級相当)の看護師(女・固定時50歳)の後遺障害慰謝料につき、両眼の麻痺の場合には労働能力の喪失に与える影響は大であるとして、800万円を認めた(東京地判平18.12.25)

(11)後遺障害等級11級の事案

脊柱変形(11級7号)、頸椎捻挫に伴う頸肩痛(14級9号、併合11級)の二輪車の国際A級ライセンスを有し優勝歴もあるドラッグレースのプロレーサー兼会社員(男・固定時32歳)の慰謝料につき、交通事故後プロレーサーとして活動できなくなったことも考慮し、レーサーとしての逸失利益については労働能力喪失率100%を8年間、会社員としての逸失利益は10%を35年間認めた上で、傷害分124万円、後遺障害分500万円を認めた(東京地判平21.5.26)

(12)後遺障害等級12級の事案

右関節障害(12級)の板前(男・固定時51歳)の後遺障害慰謝料につき、立位で行う職業に支障があるとして350万円を認めた(東京地判平16.11.17)

右環指障害(12級)のアルバイト(男・固定時52歳・プロのベース奏者として活動したことがあり、再度プロを目指し練習に励んでいた)の後遺障害慰謝料につき、40歳を過ぎながらも一念発起して将来音楽で生計を立てることを目指し、低収入に甘んじながらベースの練習に励んでいたとして、350万円を認めた(東京地判平16.12.1)

右膝疼痛(12級13号)、遷延性抑うつ反応(14級9号、併合12級)の宮大工見習(女・固定時34歳)の慰謝料につき、加害者が酒気帯び運転し、交通事故後しばらくして事故現場に戻ったものの一旦は逃走していることなどから傷害分130万円を認めたほか、両肘と右膝に肥厚性瘢痕が残ったことや、後遺障害の影響により転職を余儀なくされたことなどから後遺障害分370万円を認めた(東京地判平22.2.17)

左脛骨骨折後変形治療(12級8号)のほか、左膝関節の疼痛及び不安定が残存する被害者(男・固定時43歳)の慰謝料につき、本件交通事故による骨折の手術中MRSAに感染し、左膝化膿性慢性骨髄炎といういつ再発するか分からない疾患を抱える状態となったことを考慮し、傷害分450万円、後遺障害分390万円を認めた(東京地判平23.2.23)

(13)後遺障害等級13級の事案

左手ひとさし指欠損等(13級相当)の会社員・メカニック(男・固定時26歳)の慰謝料につき、左手ひとさし指の激痛、左足の痛みで立ち作業が困難となりメカニックを断念したことに鑑み、傷害分70万円、後遺障害分200万円を認めた(大阪地判平18.1.12)

(14)後遺障害等級14級の事案

左上肢の知覚障害等(14級10号)の石工(男・38歳)の後遺障害慰謝料につき、巧緻な手作業と集中力を要求される仕事の特殊性、唯一の生業としてきた石工の仕事に復帰することが困難な状況に置かれていること等から180万円を認めた(東京地判平13.8.29)

膝関節と頸椎の神経症状(各14級10号、併合14級)の会社員(男・固定時32歳)の後遺障害慰謝料につき、交通事故が退職に原因を与えたことは否定できないこと、被害者に落ち度はないこと、症状固定後も自己負担で接骨院等に通っていること、加害者の交通事故後の対応には誠実さを欠いていたこと等を考慮して250万円を認めた(東京地判平16.2.27)

頸椎捻挫、腰椎捻挫(14級10号)のパイロット(男・年齢不詳)の慰謝料につき、後遺障害の内容、程度のほか、従事する職業を踏まえた将来に対する不安等を総合考慮し、傷害分170万円、後遺障害分180万円を認めた(東京地判平21.3.30)

2 近親者の固有の後遺障害慰謝料

(1)後遺障害等級1級の事案

四肢不全麻痺等(1級3号)の兼業主婦(固定時45歳)の慰謝料につき、傷害分360万円のほか、本人分2800万円、夫400万円、子2人各200万円、父母各100万円、後遺障害分合計3800万円を認めた(東京地判平16.5.31)

遷延性意識障害(1級3号)の高校生(女・固定時23歳)の慰謝料につき、傷害分700万円のほか、本人分2800万円、父母各400万円、後遺障害分合計3600万円を認めた(大阪地判平19.1.31)

(2)後遺障害等級2級の事案

高次脳機能障害、右下肢短縮等(併合2級)のトラック運転手(男・固定時40歳)の慰謝料につき、傷害分400万円のほか、妻は精神状況が大きく変化した夫を将来も看護しなければならないこと、子2人も強いショックを受けたと推認できることから、本人分2370万円、妻200万円、子2人各100万円、後遺障害分合計2770万円を認めた(東京地判平20.1.24)

(3)後遺障害等級3級の事案

高次脳機能障害(3級3号)の会社員(男・固定時28歳)の慰謝料につき、傷害分400万円のほか、食事の摂取や清潔維持のために援助が必要であり、性格変容により家庭内等で暴言や暴力をふるい医療保険入院が必要になる状況にあるなどを考慮し、本人分1850万円、父母各200万円の後遺障害分合計2250万円を認めた(名古屋地判平23.4.26)

無料法律相談

  • 無料法律相談を実施しております。
  • 面談のみならず、電話でも可能です。
  • 土日祝日、平日の夜間でも可能です。
  • 是非、お気軽にご利用ください。

無料法律相談の流れ

  1. 無料法律相談のお申込み(電話又はメール又はFAX)
  2. 弁護士から返信(原則として、24時間以内に電話又はメール)→無料法律相談の日時の設定
  3. 無料法律相談(面談又は電話)

無料法律相談のお申込み方法

電話受付:03-5216-6885(平日午前9時~午後6時)

FAX申込みフォーム:03-5216-6886(24時間受付)

印刷のうえ、ご記載されて、ご送信ください。

無料法律相談の取扱事案は、「交通事故の脳・脊髄損傷による重度後遺障害事案(後遺障害等級1級~5級程度)」 になりますので、ご注意ください。
日本全国の事件を取り扱っております。